平成13年4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定されて以降、ドメスティックバイオレンス(以下略して、DV)という言葉は私達の生活の中でよく耳にするようになってきましたね。しかしながら、「DVって他人事のようで、あまりピンとこない」とか「それって意思の弱い女性に起こること?」といった声も聞かれるかもしれません。皆さんはDVと聞いてどんなことを思い浮かべますか。
新聞や雑誌等で「別れ話のもつれで殺人」、「元交際相手にストーカー行為」といった見出しを目にします。はっきりとDVと書いていなくても、意外と私達が普段何気なく見ているニュースの中にDVのケースがよく出てきます。そして殺人という最悪の結末を迎えないとしても、実は私達の身近な所で起きている大きな社会問題なのです。では、一体DVって本当はどんなものなのでしょうか?
DVって特別な人にだけ起こる?
DVとはその起こる割合から、親密な関係にある男性から女性に対する暴力のことをさすことがほとんどです。でも、本来は家族を構成するメンバー間や、少ない割合ではあっても、女性から男性、そして同性関係の中でも起こりえます。そして学歴や職業、年齢など特定の人だけが当事者になるとは限りません。更に、国や人種などにも関係なくDVは起こります。
DVってなに?
前述のようにDVというと身体に加えられる暴力のイメージが先行しがちです。でも、実際には身体的暴力のほかに、「言葉の暴力」、「精神的な暴力」、「性的暴力」、「金銭的暴力」などがあり、そうした中にも様々な方法が複雑に織り込まれていることがよくあります。例えば、怒鳴ったり、罵倒したり、相手が傷つくことを言ったり、目つきや態度で脅したり、「別れたら死ぬ」、「殺してやる」と脅迫する。洋服や行動にケチをつけて、相手の言う通りに振舞わないといけない。電話やメール先を調べられたり、誰と何処に行っていたかを詰問されることで人間関係がどんどん狭められていく。本当は嫌なのにセックスをしなければならない。お金の管理は相手がして、生活費は頼まないともらえなかったり、買ったものを全て報告しなくてはいけない。また、往々にして見られるのが、「お前が悪い!」と相手が責任を転嫁し、相手の暴力や暴言が全て自分のせいにされる。こうしたことが生活の様々な場面にあって、知らず知らずのうちに自分の行動や思考をもコントロールされていくことがドメスティックバイオレンスです。
また、DVには周期があり、暴力勃発後、謝罪やプレゼントを渡すハネムーン期、何もなかったかのように落ち着き、そして次第に緊張が高まった後再び暴力が爆発する。この頻度や期間は人それぞれ異なり、1ヶ月のサイクルもあれば10年という場合もあります。
どうしてその関係に留まるの?
これはDV被害者が一番よく聞かれる質問で、また被害者が苦しむところです。とくにパートナーとしての関係がある場合、復讐への恐怖はもちろんのこと、彼が変わることへの期待、愛情や未練、一人になる怖さ、世間体、経済力不足、支援不足、子供のため、何をやってもダメという諦めの気持ちなど様々な要因が絡み合っているため簡単に別れられないのが現実です。こうした精神的に日々追い詰められる状況下にいると、相手を怒らせないように振舞うことを生き延びる術として学んでいくことがよくあります。更には、うつやパニック状態に陥ったり、ストレス障害に悩まされることも少なくありません。
もし知り合いがDVの被害を受けていたら?
まずは彼女の話をよく聞いてあげましょう。その際に、アドバイスをあげたいというあなたの気持ちを抑えて、彼女の気持ちや意見を聞いてあげてください。そして、彼女の決断を尊重して下さい。それがたとえ「彼と一緒にいる」決断だとしても。大切なのは決断を急ぐことではなく、彼女やその子供達の身の安全を守ること。DV被害者援助機関の情報をあげて、彼女がいつでも助けを求める場所があることを教えてあげるとともに、一緒に安全計画を考えましょう。いざという時に何処に行く、何をもっていくなどの計画を立てておくことが大切です。また、DVの専門家に相談することで更なる安全のための手立てを見つけることができます。
ドメスティックバイオレンスは個人の問題ではなく社会の問題です。あなたがここで読んだことを他の人にも話してみるところから問題改善の一歩が始まります。
参考サイト
・DV問題連絡評議会 http://www.dvcenter.jp/
・東京ウィメンズプラザ http://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/
・内閣府 配偶者からの暴力被害者支援情報
http://www.gender.go.jp/e-vaw/index.htm