新世紀を正しく歩きましょう。そのために知っておくべき人や国にまつわる歴史を、名作・傑作たちを見ながら学びます。
親子3代にわたる愛と哀しみの20世紀
「男と女」などで知られるフレンチ・メロドラマの名匠クロード・ルルーシュが哀切をこめて振り返る家族規模での小さなくも壮大なる20世紀史である。ラベルの「ボレロ」をテーマ曲に、さまざまな家族や恋人たちの半生が静かに語られてゆく。
戦争によって引き裂かれた家族の絆と崩壊、そして再会
パリ・ニューヨーク・ベルリン・モスクワ。その4大都市に住む4組の家族。それぞれに小さな幸せや、時として大きな成功に酔いしれながらも彼らは1941年を迎える。第二次世界大戦の火蓋が切って落とされた、哀しみの年である。彼ら家族は戦争という悲劇的な運命に翻弄され始める。ロシアではドイツ軍の侵攻によりスターリングラードが悪夢と極寒の戦場と化し、愛する者が凍死する。将来を嘱望された音楽家は、ベルリンでヒトラーに認められるのだが、やがてそれが戦後思わぬ悲劇を招く。その音楽家と恋に落ちたパリのクラブシンガーは、終戦後対敵協力者とみなされ、髪の毛をそり上げられ民衆の晒し者となり、やがて1児を遺し自殺。アウシュビッツに送られたユダヤ人夫妻は、途中護送列車の中から子供を生かすために捨てざるをえず、夫はやがてガス室に送られて行く。さまざまな悲劇を生んだ戦争もやがて終わり、新しい時代を迎えるのだが…。
決して忘れてはいけないもの
人類史上最も凄惨な戦争をその歴史に刻み込んでしまった20世紀という時代が、いかに哀しみの涙と小さな幸せの積み重ねによってかたどられた世紀だったのか…。私たちが決して忘れてはいけない、そして新世紀にも語り継いでいかなければならない何かが、この作品の中には凝縮されている。歴史の中に人がいるんじゃない。ひとりひとりの人間が歴史を作ってゆくんだ…あらためてそんな風に実感させてくれる名編です。
「愛と哀しみのボレロ 完全版」(1981年フランス/DVDのみ)
監督/クロード・ルルーシュ
出演/ロベール・オッセン ジョルジュ・ドン ジェームズ・カーン
(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/ヘラルド)
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