いくつになっても恋する準備は忘れずに・・・。
全世界の涙を誘った同名ベストセラー小説の映画化。当初男性役に決まっていたイーストウッドでは年をとりすぎてるとか、熱烈な男性ファンの間ではイーストウッドが恋愛映画なんてとうとうボケたか…なんてさまざまなゴシップが聞こえてきたが、そこはさすがに「ハリウッドで最も重要な監督のひとり」と敬われる老雄!ややメロウすぎる原作の甘味を極力カットして、実に落ちついた味わいの恋愛映画に仕上げている。メリル・ストリープも片田舎の農家の主婦になりきるため、体重を増やすなど入魂の役作りでイーストウッドイブシ銀の演出に応え、淡々とした中にも情感豊かな大人の恋愛を描いた本作が代表作のひとつになった。
舞台はのどかな田園風景が広がるアイオワ州の片田舎。日々の生活に追われる農家の主婦フランチェスカ(メリル・ストリープ)は、屋根つきの橋を取材するためにやってきたロバート(クリント・イーストウッド)と運命的な出逢いをする。おりしも夫とふたりの子供が留守にしている4日間、フランチェスカはお互いの中に確かな愛を認め、かつてどこかに置いてきてしまった夢や希望さえとり戻してゆくのだが、この愛のために全てを投げ捨てられるほど、自分はもう若くないことを知っていた…。
「遺体は灰にしてローズマン橋から撒いて欲しい…」
ふたりの子供たちが母の遺品の中から見つけた遺言書にはそう書かれていた。ローズマン橋はフランチェスカとロバートの思い出の場所なのである。子供たちが遺書の中で母の不倫を知り、「良妻賢母だった母が、実はチャタレイ夫人だったなんて…」という嫌悪を抱きながらも、やがて母をひとりの女性として愛しくさえ思えてゆく過程が切なく胸を打つ。
どんなに生活に追われても、諸事雑多なことが掃いて捨てるほどあっても、恋はいつどんな形でやってくるかもわかりません。そんな時を信じて夢みて恋する準備は忘れずに。
「マディソン郡の橋」(95年アメリカ/ワーナー・ブラザース)
監督/クリント・イーストウッド
出演/メリル・ストリープ クリント・イーストウッド アニー・コーリー
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